戦後日本のGDP統計の所在

戦後日本の名目・実質GDP成長率のデータについてはこちらの記事を参照

何かの「対GDP比」という数字がよく使われる。このホームページでも日本の歳出の対GDP比などの数字を掲載している。しかし、その「対GDP比」を算出するためのGDPの統計は何を利用するのか?

結論から先に述べておくと、このホームページでは、対GDP比などの数字を作成する時に必要な戦後の名目GDP(あるいはGNP)の統計は、以下のものを利用する。

  1. 1946~50年度:経済企画庁[1966]『昭和40年版 国民所得白書』(『昭和39年度版 国民所得白書』)の「国民総支出」
    http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/rekishi/sna_top.html
  2. 1951~54年度:経済企画庁[1978]『国民所得統計年報 昭和53年版』の「国民総支出」(ネット上で入手不可能)
  3. 1955~79年度:内閣府「1998年度国民経済計算 (1990基準・68SNA)」
    http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/h10/12annual_report_j.html
  4. 1980~93年度:内閣府「2009年度国民経済計算(2000年基準・93SNA)」
    http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/h21/h21_kaku_top.html
  5. 1994以降:内閣府の最新年次の国民経済計算(2008SNA)

※1955年以降のGDP統計については、内閣府によって毎年出されている『年次経済財政報告』中の「長期経済統計」における名目GDP値を利用できる。同統計では異なるSNA体系間の数値を接続するための処理が行われているようである。

GDPなどの数字は、国際的に統一された基準である「国民経済計算」(System of National Accounts: SNA)に則って作成されている。GDP統計の厄介な問題の1つとして、このSNAの大きな改定があると、それによって数字が変わってくるという点がある。それは長期的なGDPを利用する場合に特に問題となる。ある年から新しいSNAに基づいたGDP統計が作成されたとすると、時系列の統計では、そのSNAの変更の前後で連続性が無いということになってしまうからである。加えて、日本の国民経済計算では5年毎に体系基準年も改められている。

実際に、国民経済計算の体系は68SNA、93SNA、2008SNAと変更されてきている。一方、新しいSNAに基づいて古い数字もすべて作成し直すということは(少なくとも日本では)行われていないようである。したがって、古いGDPの数字は古いSNAに基づいたものを使わざるを得なくなる。

内閣府の「国民経済計算」では、68SNAで1955~1979年、93SNAで1980~2014年、2008SNAでは1994年以降の数字が作成されている。

⇒内閣府ホームページ「長期の一貫したデータはあるか」(http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/otoiawase/faq/qa2.html

  • 1955年以前の数字

一方、戦後から1954年までの期間についてのGDPを見る場合には、別の資料が必要である。

古い数字が含まれる統計の1つとして経済企画庁の『国民所得白書』がある。経済企画庁[1966]『昭和40年版 国民所得白書』では、1930~1964年の国民総支出の数字を入手できる。

従来の国民所得統計を改定する形で、『国民所得白書』の後に発行された『国民所得統計年報』(経済企画庁)、1951年度以降の数字を入手することができる。

できるだけ新しく発行された統計を利用するとすれば、

・1946~1950年度:経済企画庁[1966]『昭和40年版 国民所得白書』の「国民総支出」

・1951~1954年度:経済企画庁[1978]『国民所得統計年報 昭和53年版』の「国民総支出」

が利用できることとなる(1979年からは『国民経済計算年報』が発行されるようになる)。

なお、前者の経済企画庁[1966]『昭和40年版 国民所得白書』(『昭和39年度版 国民所得白書』)は内閣府のホームページで入手することが可能である一方(http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/rekishi/sna_top.html)、後者の経済企画庁[1978]『国民所得統計年報 昭和53年版』は同ホームページ上では入手できないようである。

なお、1940~1955年のGDPを推計した研究として、溝口敏行・野島教之[1993]「1940-1955年における国民経済計算の吟味」(『日本統計学会誌』第23巻1号。ウェブ上で入手可能。)が存在し、その推計を利用することも可能である。

このホームページでは、対GDP比などの数字を作成する時に必要な戦後の名目GDP(あるいはGNP)の統計は、冒頭に述べたものを利用する

それらの基準の異なるGDPは、その間で調整は行わず、掲載されている数字をそのまま利用している。このように長期的なGDPを使用し、対GDP比の数字を算出している統計として、国立社会保障・人口問題研究所の『社会保障費用統計』などがある。

ただし、例として2014年度のGDPを見てみると、2005年基準の93SNAの数字と、2011年基準の2008SNAの数字の間には、20兆円以上の差がある(2008SNAの方が大きい)ことには注意が必要である。

他方、OECD統計などで、対GDP比の数字がもともと作成されている場合は、それをそのまま利用している。

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