日本の大学の学費は高い:大学の授業料の国際比較

1.利用するデータ

ここでは大学の平均的な授業料について国際比較を行う。

利用できるデータとしては、OECDが公刊しているEducation at a Glanceのデータがある。

Education at a Glanceは毎年公刊されており、それらは無料で入手できるようになっている。

Education at a Glanceの2017年版では、各国の公的な高等教育機関、および私的な高等教育機関における平均的な年間の授業料のデータが掲載されており、ここではそのデータを利用する。

2.国公立大学の授業料の国際比較

ここでは、各国の公的な高等教育機関(public tertiary institution)、すなわち日本では国公立大学にあたるものにおける平均的な年間の授業料を見る。

ここで見るのは各国の学士レベル(学部レベル)での授業料である。大学院レベルでは授業料水準が異なる国も存在する(日本ではほぼ同一)。

OECDでは、「公的な高等教育機関」(public tertiary institution)は、その国の公教育当局・機関によって直接的に管理・運営されているか、あるいは、政府または多くが公的な機関によって任命されたメンバーによって構成される審議会などによって管理・運営されている高等教育機関を指すとされる(OECD, Education at a Glance 2017, p.409)。

一方、日本語では、設置者が国あるいは自治体である場合には「国公立」と呼んでいる。

したがって、日本語の「国公立」=OECDのいう“public”とは限らないが、以下ではOECDのいう“public”は「国公立」と呼んでいる。

また、通貨や経済規模の異なる各国の学費の水準をどのように比較するか、という問題があるが、OECDでは購買力平価(purchasing power parities: PPP)で換算された米ドルでデータが示されている。

「購買力平価で換算」とは、各国の通貨の実質的な購買力が等しくなるように換算することを意味する。

例えば、日本で1万円で買えるものが、アメリカで100ドルで買えるのであれば、100円=1米ドルとして換算することになる。これは日々変動している為替レートと一致しているとは限らない。

国公立大学の平均年間授業料を比較したものが上のグラフである。ここからわかることは、

  • 特にヨーロッパ諸国では公的な大学の授業料は無料である国も多く、授業料を徴収している国でもそれほど高くない

  • 日本の国公立大学の授業料は、アメリカ、チリに続いて高く、国際的に見てかなり高い水準にある

このように日本では私立大学と比較して授業料の安い国公立大学においても、大学の授業料は国際的に見て明らかに高いことがわかる。

なお、他ではアメリカ、チリ、カナダ、オーストラリア、韓国などの授業料が高くなっているが、それらの国は、日本も含めて比較的政府の小さい国である。

3.私立大学の授業料の国際比較

続いて、各国の私的な高等教育機関(private tertiary institution)、すなわち日本では私立大学にあたるものにおける平均的な年間の授業料を見る。学士レベル(学部レベル)での授業料である。

OECDのいう「私的な高等教育機関」とは、「政府に依存する私的な高等教育機関」(government-dependent private tertiary institution)および「独立した私的高等教育機関」(independent private tertiary institution)の両方を含んだものである。

「政府に依存する私的な高等教育機関」とは、コアとなる資金の50%以上を政府機関から受け取っている、あるいは教員の給与が政府機関から支払われている私的な高等教育機関をいい、そうではない場合は「独立した私的高等教育機関」とされている(OECD, Education at a Glance 2017, p.409)

一方、日本語では、設置者が学校法人や株式会社である場合には「私立」と呼んでいる。

日本語の「私立」=OECDのいう“private”とは限らないが、以下ではOECDのいう“private”は「私立」と呼んでいる。

日本の私立大学は、上記のOECDでいうところの「独立した私的高等教育機関」となる

私立大学の平均年間授業料を比較したものが上のグラフである。日本では、私立大学の初年度の平均的な学費を示している(OECD, Education at a Glance 2017, Annex 3, p.69)。

私立大学の学費についても国公立大学と同様の傾向を示している。

アメリカの私立大学の学費が著しく高くなっているが、その他にはオーストラリア、日本、韓国、チリなどが高い学費で続いている。

一方、フィンランドやスウェーデンなどは私立大学でも学費が無料となっており、ヨーロッパ諸国では学費が比較的安くなっている。

日本の私立大学は、国公立大学と同様、国際的に見て高くなっている。

以上のように、日本では国公立大学でも私立大学でも学費が国際的に高い。

なお、このOECDのデータでは、日本の私立大学の平均的な学費は、国公立大学の約1.6倍となる。

日本では大学生のうちの70%以上が私立大学に通っており、高い学費を払っている学生が多いと言える。

国公立・私立の大学・大学生の内訳についてはこちらの記事を参照

データのソース

・OECDのレポートであるEducation at a Glanceに掲載されているデータ
http://www.oecd-ilibrary.org/education/education-at-a-glance_19991487

・Education at a Glance 2017では、”Indicator B5 How much do tertiary students pay and what public support do they receive?”の中の”Table B5.1. Estimated annual average tuition fees charged by tertiary educational institutions (2015/16)”に各国の高等教育機関における平均的な年間の学費が掲載されている

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