税負担の内訳 国際比較

どのような税目によってどの程度の収入を挙げているのか、という点は、各国によって異なっている。例えば、収入の中で消費税がとても大きい国がある一方、所得税がとても大きい国もあるかもしれない。ここでは各国の一般政府の税・社会保障負担の内訳について見る。

もっとも、各国における税の内訳を比較することは簡単なことではない。例えば、まったく性質の異なる税目が各国間で同一の名称で呼ばれていたり、反対に性質がほとんど同一の税を全く異なる名称で呼んでいたりする場合もあるかもしれない。どのように各国で税の内容を比較するのか、ということは難しい問題である。

OECDは、その比較を可能とするようなデータを提供してくれている。各国の各税を性質的に分類し、同じような性質を持つ税の規模が各国でどの程度存在しているのかわかるようなデータが作成されている。それはOECDのRevenue Statisticsで提供されている。

そのRevenue Statisticsのデータにより、主要な先進国における税・社会保障負担の内訳を見ると次のようになる。

1.OECDによる税・社会保障負担の分類

ここでは図表のそれぞれの税目の分類がどのような内容なのか先に概観しておく。これらの内容は、OECDによって毎年発行されているRevenue Statisticsの中の付録として載せられている”The OECD classification of taxes and interpretative guide”によっている。日本のどの税がどの分類に含まれるかは、Revenue Statisticsの中の”Country tables”の日本の部分で大体知ることができる。

(1)個人所得課税
OECDの分類でいうところの、”1100 Taxes on income, profits and capital gains of individuals”を指す。これは、個人のネットの所得(収入から経費や制度上の控除を差し引いた所得)に課せられる税を指す。日本の税でいうと、国税の所得税や、地方税における個人の住民税や個人の事業税が含まれる。

(2)法人所得課税
OECDの分類でいうところの、“1200 Taxes on income, profits and capital gains of corporates”を指す。これは、法人のネットの所得(収入から経費や制度上の控除を差し引いた所得)に課せられる税を指す。日本の税でいうと、国税の法人税や、地方税における法人の住民税や法人の事業税が含まれる。

(3)資産課税
OECDの分類でいうところの、“4000 Taxes on property”を指す。これは、資産の利用、保有、取引などに対して課せられる税を指す。日本の税でいうと、国税の相続税・贈与税、印紙税や、地方税の固定資産税、不動産取得税などが含まれる。日本において最も大きい資産課税は固定資産税である。なお、資産の売却利益などのいわゆるキャピタルゲインは、所得税の方に分類され、資産課税には含まれない。

(4)消費課税(財・サービス課税)
OECDの分類でいうところの、“5000 Taxes on goods and services”を指す。これは、財やサービスの売買や利用、利用の許可に関して課せられる税を指す。日本の税でいうと、国税・地方税の消費税、たばこ税、国税の酒税、揮発油税、関税、自動車重量税や、地方税の自動車所得税、軽油引取税、自動車税などがこの分類に含まれる。いわゆる消費税だけでなく、酒税やたばこ税などの個別の物品の消費課税も含まれていることに注意。また、自動車税なども資産課税ではなく、この分類に含まれている。

(5)賃金税
OECDの分類でいうところの、” 3000 Taxes on payroll and workforce”を指す。この分類は、日本では該当する税が存在しないこともあり、わかりにくいかもしれない。これは、社会保険料のような形で賃金の一定割合、あるいは1人当たりの定額の形で、被用者・雇用主・自営業者に対して課せられる税を指す。社会保障拠出金との違いは、社会保障の受給の権利と結びついていないことである。つまり、社会保険料のような形で課せられるものの、社会保障の受給権とは関係のない税がここに含まれていると考えられる。

(6)社会保障拠出金
OECDの分類でいうところの、”2000 Social security contributions (SSC)”を指す。OECD統計におけるsocial security contributionsは、「(条件付きの)将来の社会給付(social benefit)を受け取る権利を与える、一般政府へ納められるすべての強制的な支払い」と定義されている。日本でいえば、年金、医療、介護、雇用保険などの社会保険料がすべてここに含まれる。

会社などに雇用されている従業員の負担分は「被用者」(OECDの分類でいうところの” 2100 Employees SSC”)、雇用する側で会社などの負担分は「雇用主」(OECDの分類でいうところの”2200 Employers SSC”)とした。「自営業・非雇用者ほか」は、その他の社会保障拠出金を指す(OECDの分類でいうところの”2300 Self-employed or non-employed SSC”と”2400 Unallocable between 2100, 2200 and 2300 SSC”の合計)。

2.税・社会保障拠出金の内訳の国際比較と日本の特徴

主要な先進国の税・社会保障拠出金の内訳を見ると、日本では特に個人所得課税および消費課税の規模が小さい一方、法人所得課税のほか、社会保障拠出金、とりわけその被用者負担分が国際的に見て大きいことがわかる。

消費課税の水準は特にヨーロッパ諸国において大きい傾向にある。これは、EU加盟国では一定水準以上の付加価値税(value added tax)を持つことが決められていることが大きく影響していると考えられる。具体的には付加価値税の標準税率は15%以上にしなければならないと定められている。その結果、ヨーロッパ諸国が多く含まれるOECD加盟国全体でも消費課税の水準が大きくなる。

一方、アメリカ、カナダ、オーストラリア、日本などでは消費課税の水準がヨーロッパ諸国と比較して小さい。日本では2014年度より消費税率が8%に引き上げられているが、それでも国際的に見て消費課税の水準は小さく、10%への引き上げが行われたとしても依然として小さいままであると予想される。前述のように、EU加盟国では付加価値税率を15%以上に設定しなければならない。

日本の消費税率が低いことは広く知られているが、一方で個人所得課税の水準も小さいことに注意が必要である。日本で特に小さいものは消費税と所得税なのである。

他方、日本では社会保障拠出金の規模が大きく、収入の構成比で見ても4割程度が社会保障拠出金で占められている。フランスやドイツと並んで、社会保障拠出金の占める割合が大きい。さらに、社会保障拠出金の中でも個人である被用者負担分が大きい。日本では個人が払う所得税は小さいものの、個人の払う社会保険料は大きいと言える。日本では、会社の従業員の場合、社会保険料が個人と会社でほぼ半々で支払われることが多いため、被用者と雇用主の負担の規模は近い数字となる。しかし、多くの国がそのようになっているとは言えず、カナダ、フランス、イタリア、スウェーデン、イギリスなどでは会社側の負担の方が明らかに大きくなっており、先進国の平均的な数字で見ても個人負担分より雇用主負担分が大きく、両者には大きな差がある。

データのソース

(1)統計データ:OECD.StatのRevenue Statistics – OECD countries: Comparative tableshttps://stats.oecd.org/Index.aspx?DataSetCode=REV

・各税目は”Tax revenue”の中から選択できる。”Customize”から各税目を一覧できるような表示の仕方に変更することも可能。

(2)税目の分類方法の詳細:OECD, Revenue Statisticsの中の付録として載せられている”The OECD classification of taxes and interpretative guide”
http://www.oecd-ilibrary.org/taxation/revenue-statistics_19963726

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