出生率の国際比較(合計特殊出生率・年齢階級別出生率)

1.利用するデータ

日本では少子化が大きな問題とされるが、出生率を国際比較するとどうなるか?

(1)合計特殊出生率

「出生率」といっても様々な指標がありうるが、1つ目に見るのは、よく利用される「合計特殊出生率」(Total Fertility Rate)である。

「合計特殊出生率」とは、その時点における女性の年齢別出生率を合計したものを指す。つまり、1人の女性がその時点における年齢別出生率で出産年齢を生きると仮定した場合に、期待される平均的な出生数を意味する。移民や死亡率の変化がないと仮定すると、合計特殊出生率が2.1であれば、人口規模が安定的に推移するとされる。

例えば、出産年齢を15~49歳であるとすると、2015年の合計特殊出生率は、

「(2015年に)15歳である人の出生率」+「(2015年に)16歳である人の出生率」+・・・・・+「(2015年に)49歳である人の出生率」

として計算されることになる。(ただし、データの制約などから1歳ごとの各年齢の出生率ではなく、5歳ごと〔例えば15~19歳〕の出生率を利用する場合もある。)

したがって、2015年の合計特殊出生率は、あくまでも「2015年の年齢別出生率のまま女性が一生を過ごす」ことが仮定された数字であり、時代によって出生率自体に大きな変化があれば、その算定された出生率は実態と大きく離れる可能性もあることには注意が必要である。

合計特殊出生率を国際比較するために利用できるデータとして便利なものは、OECDのFamily Databaseの統計である。合計特殊出生率の国際比較には、このOECDのFamily Databaseを利用する。

なお、より長期の日本の合計特殊出生率については、厚生労働省の「人口動態調査」から入手することができる(1947年から)。

OECDのFamily Databaseにおける日本の数字は、この厚生労働省「人口動態調査」の数字が使われているようである。

なお、この「人口動態調査」の確定数は「日本における日本人」を対象としたデータとなっており、日本に住む外国人のデータは除かれている。

(2)年齢階級別の出生率

合計特殊出生率は年齢別の出生率を合計したものであったが、その具体的な中身、つまり各国においてどの年齢階級における出生率が高い・低いのかというデータを見る際には、国立社会保障・人口問題研究所の『人口統計資料集』が便利である。OECDのFamily Databaseでも同様の数字は入手できるが、データがしばらく更新されていない時もあるようだ。

なお、『人口統計資料集』における年齢階級別の出生率のデータは、国連のDemographic Yearbookによっている。

利用したデータの入手方法についてより詳しくは本記事の末尾を参照

2.合計特殊出生率の推移の国際比較

合計特殊出生率の推移

このデータからわかることは、

  • 主要な先進国に共通する傾向として、1970年代ころから出生率が大きく低下してきた。また、多くの国で、人口規模が安定的に推移するとされる2.1を下回っている。

  • 近年の日本の出生率は、国際的に見ても小さい。ただし、ドイツやイタリアも日本と同程度の出生率であり、韓国ではさらに低い。もっとも、日本の出生率は2000年代半ばからわずかに上昇している。

3.年齢階級別の出生率の国際比較

この図表は、主要な先進国における女性の年齢階級別出生率を見たものである。

このデータからわかることは、

  • 日本も含め、多くの国において出生率の最も高い年齢層は30代前半であり、その次に出生率が高い年齢層は20代後半である。出生率が高い国であるフランスでは30代前半よりも20代後半の出生率の方がわずかに高くなっている。20代後半~30代前半において出生率が高いというのが主要な先進国に共通した傾向である。そのため、グラフの形状は類似している国も多い。特に日本とドイツのグラフの形状は非常に似ている。

  • ただし、主要な先進国の中でもグラフの形状が異なる国もある。アメリカでは20代後半~30代前半だけでなく、20代前半の出生率も高くなっている。19歳以下の出生率も他国と比較して高いことから、アメリカでは他の先進国と比較して若年層における出生率が特に高いと言える。

データのソース

(1)各国の合計特殊出生率の推移:OECD, Family Database
http://www.oecd.org/els/family/database.htm

・”INDICATORS”の中の、”Fertility indicators”、”SF2.1 Fertility rates”

・.xlsファイルの方で各国における合計特殊出生率の推移のデータを入手できる

・なお、OECD.StatのFamily Databaseでも合計特殊出生率のデータを入手することができるものの、なぜか小数点第一位までしか表示されないため、細かい動きが把握できない

(2)日本の長期的な(1947年~)合計特殊出生率の推移:厚生労働省「人口動態調査」
  http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/NewList.do?tid=000001028897

・e-statの「人口動態調査」から

⇒「出生」の最新年次を選択

⇒表番号4-1    「年次別にみた出生数・率(人口千対)・出生性比及び合計特殊出生率」

・あるいは、「人口動態調査」の「結果の概要」からも出生率のデータを入手可能

(3)各国における年齢階級別の出生率:国立社会保障・人口問題研究所『人口統計資料集』
http://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/Popular/Popular2017RE.asp?chap=0

・『人口統計資料集』の最新年次を選択(ここでは「2017年改訂版」の場合)

⇒その中の「Ⅳ.出生・家族計画」

⇒「表4-6 主要国女性の年齢(5歳階級)別出生率および合計特殊出生率:最新年次」

・なお、この社人研における年齢階級別出生率のデータは国連のDemographic Yearbookによっている

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