日本の社会保障給付の推移

ここでは日本の公的社会保障関係給付の時系列的推移について見る。

日本の社会保障関係給付の統計としては、国立社会保障・人口問題研究所より毎年発行される『社会保障費用統計』がある。同統計には社会保障関係の多くのデータが掲載されている上、同研究所のホームページ上で統計のExcelファイルも入手できるなど、大変便利である。

まずは長期的な統計として、『社会保障費用統計』から入手できる「社会保障給付費」の推移を見ることにする。「社会保障給付費」の統計は1950年代から入手することができ、長期的な推移を見る際に利用できる。

社会保障給付費の対GDP比を見ると、長期的にはほとんど一貫して社会保障給付の規模が増大してきたことがわかる。特に1970年代および90年代以降に大きく伸びている。

その内訳を見ると医療および年金が大部分を占めている。その両者とも長期的に拡大してきたが、特に大きく増大してきたのは年金である。年金給付の対GDP比は、1960年代には1%台であったが、近年では10%を超えるほどの水準となっている。構成比で見ても年金の占める割合は80年代から50%程度となっており、社会保障給付の半分は年金だけで占めているという状況となっている。年金給付の規模が大きく増大してきたのは、年金制度の成熟化により、長期的に保険料を支払った上で高齢期に受給する人が増えたこと、および人口の高齢化が進んできたことが大きく影響していると考えられる。年金の給付水準そのものについても、特に1970年代に大きく引き上げられている。

社会保障支出のより細かい内訳については、OECDの「社会支出」統計が便利である。ただし、古いデータは1980年代までしか存在していないようである。

OECDの「社会支出」の統計についてはこちらも参照

年金および医療給付が増大してきたことが、OECD統計では「高齢」および「保健」を中心として社会支出の増大として表れている。OECD平均値と比較すると、特に「高齢」の伸びが著しいことがわかる。

一方、「高齢」および「保健」以外の支出の規模は80年代から国際的に見て小さかった上、その伸びも小さいことがわかる。構成比で見て「高齢」+「保健」の占める割合が大きいという日本の特徴は、近年だけに見られるものではなく、少なくとも80年代から支出が高齢者向けおよび医療に偏っていたことがわかる。

データのソース

(1)日本の「社会保障給付費」の統計:国立社会保障・人口問題研究所の『社会保障費用統計』
http://www.ipss.go.jp/site-ad/index_Japanese/security.html

・「社会保障給付費」の実額および構成比の長期統計については、「時系列表」の中の「社会保障給付費の部門別推移」

・「社会保障給付費」の対GDP比の長期統計については、「時系列表」の中の「社会保障給付費の部門別推移(対国内総生産比)」

(2)日本の「公的義務的私的社会支出」の内訳:OECDの” Social Expenditure – Aggregated data”の統計データ

「社会保障費(公的社会支出)の国際比較」のデータソースを参照

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする